2023年1月第3週の一言 土曜日の霊性②

先週に引き続き、榎本空さんの著書「それで君の声はどこにあるんだ」より、黒人神学者コーネル・ウェストの歴史・神学思想である「土曜日の霊性」の紹介部分を引用します。同書66~68頁。

「400年にわたってトラウマを受け続け、それでもなお世界に向かって、癒すことをこれほどまでに教えた人びとの伝統。400年にわたって生命を脅かされ続け、それでもなお世界に向かって、自由をこれほどまでに教えた人びとの伝統。400年にわたって憎しみを受け続け、それでもなお世界に向かって、愛を、愛し方をこれほどまでに教えた人びとの伝統」。この伝統にしっかりとつながりなさい。これもウェストの口癖だった。

あなたの命に価値などないと絶え間なく教えるこの世界にあって、互いに愛し合い、愛を教えること、それは、ジェイムズ・ボールドウィンも書いたように「多大な霊的抵抗」を必要とする。朝、目を覚まし、呼吸をする事、それが黒人にとってはすでに抵抗のひとつなんだというスタンレー(※筆者のユニオン神学校での同級生)の言葉は、字義通りの真実なのだろう。あらゆる種類の死の恐怖がつきまとう中で、互いにつながり、憎しみあうのではなく他人を労り、子どもたちを育て、学び、歌い、詩を書き、物語を語り、食事を作り、本を読み、何かを大切にし、もしそのいずれもが不可能だとしても、ともかく生き、生き延びようとすること。それは抵抗であり、すでにひとつの奇跡である。

そして、それには、人と人とのあいだから立ち現れる謎めいた力、私たちをほんの少しだけ超えたところからもたらされる不思議な力が必要なのだろう。その力はきっと多様な姿をしており、神かもしれないし、イエスかもしれないし、音楽かもしれないし、歴史の折り重なりなのかもしれないし、友なのかもしれない。いずれにせよ、そんな私たちが起き上がるための力、それが土曜日にある霊性なのだ。そして事実、あのグローリー、ハレルヤ(※黒人霊歌「誰もわたしの味わった苦しみを知らない」の一節)という言葉もまた単純な日曜日の賛美ではなく、土曜日の痛みに根ざした歌だった。(終)****

明日、1月16日の月曜日、YouTube抱樸チャンネルで夜8時から、榎本空さんと牧師がオンライン対談します。よろしければぜひご覧ください。アーカイヴも残る予定です。

(記)会計担当 U.N(2023年1月15日の週報より転載)

※会計担当 U.N.追記
アーカイブはこちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=stbA3VxF5L4


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