2022年8月第2週の一言

旦過市場がまた火災に襲われた。水曜日の夜。飲食店のてんぷら油に引火し、火はあっという間に燃え広がり、4月の大火災よりも広い面積が延焼した。

2022年3月28日の会堂装花ちょうど4月の火災のがれきがようやく撤去され、更地になった広場がこれから活用され始めようとしていた矢先。創業83年を目前にしていた日本有数の木造映画館「小倉昭和館」も焼け落ちてしまった。5月に「タンガでタンゴにタンゴ」をやったばかりの大學堂も、延焼。

小倉昭和館主はツイッターでこんな風につづっている。

「小倉昭和館をご愛顧頂きましてありがとうございます。今回の旦過火災により、操業83年の記念日を前に焼失してしまいました。今日まで皆様に頂戴致しました御支援御厚情に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。映画館を守ることが出来ず、申し訳ございません。」

何度も読み返しては涙が出る。

前回の火災の後は、もう翌日には矢も楯もたまらず様子を見に行った。しかし今回はなんとなく行き出せないまま二日を過ごし、昨日の土曜日に勇気を奮って現場を訪れてみた。目の前の惨状に、やっぱり胸がつぶれる思いになり、重い溜息を、ああ、ああ、とつきながら歩いた。できることは、延焼を免れて営業を始めた店で買い物をすることしかない。ホルモンやカルビなどBBQ用の肉、夕飯にとチヂミ、イリコの甘辛佃煮、キンパ、おつまみ用の豆菓子。暑くて汗だくだったので赤壁酒店に入って冷たいノンアルコールビールを1缶プシュッと。両手にいっぱい買い込んだ。

大學堂では顔なじみのスタッフがちょうど中から大切なものなどを引き上げる作業をしているところに出会うことができた。市場の人たちはそれでもできるところは営業を早速開始したし、やっぱりすごい、と語っておられた。言葉と笑顔を交わす。悲しくて辛いときに、それは何よりも必要なこと。

できることがあれば何でもやりますからね。やりましょう!そんな言葉を交わして、その場を離れた。きれいなままかかっている看板が嬉しかった。大學堂の責任者でもある北九州大学の竹川大介さんは被災の翌日フェイスブックにこうつづっている。

「燃え残った最低限のものを取り出すために、許可をとって中に入った。14年旦過市場で育ってきた大學堂は、こんな形では絶対に終わらせない。大丈夫。復活する。」

そしてさらに今日

「2日続けて中に入れることになり、大學堂の被害は思いの外少ないことがわかりました。母屋はほぼ無傷で残っています。この建物はもともと戦後直後の火災の時にも奇跡的に残りました。不死鳥のような再生を願ってください。」

また買い物に行こうと思う。飲み食いだってする。できることは何でもしたい。生きるということを、ともにしたい。祈るってそういうことだ。

(記)会計担当 U.N(2022年8月14日の週報より転載)


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