5月の聖書講座:イエスのたとえ話を読む⑲「年貢を拒むブドウ園の農夫たち」レジュメより
- マルコの福音書12章1節~12節を読んで対話しましょう。
- 物語の枠組み
11章27節~33節の続き。
エルサレム神殿でのユダヤの「 論争」の流れ。 バプテスマのヨハネやイエスの権威を認めない彼らへの批判、非難 - あらすじ
ぶどう園主が年貢の取り立てのために下僕をよこす。 労働者らはひとりめ、ふたりめ、と 暴力をエスカレートさせて追い返す。3人目は殺す。 さらに多くの者が送られてくる度、殴り、殺す。最後に送られてきたひとり息子も殺す。農園主は農夫たちを皆殺しにし、ぶどう園を他の者たちに与える。 - 古典的な読み方(寓意的解釈)
・ぶどう園の主=神
・労働者たち=ユダヤ教指導者たち、ユダ ヤ人。
・下僕たち=歴代の預言者たち。
・ひとり息子=イエス・キリスト
・他の者たち=異邦人・非ユダヤ人、罪びとら。 - 神への信仰を求める預言者達を拒み、遂に神のひとり子・イエスを 害したユダヤ人(指導者ら)は裁かれて滅びに至り、救いは異邦人や人らに与えられる。
→盛大な宴会を催す人の話と類似
- 古典的・キリスト教的読み方に「?」
日雇い農民たちを悪者に仕立てて語る?イエスは彼ら、彼女らの味方だったのに。
農民たちから土地を奪い取っていた地主たち。またこのたとえで暴力的に報復し、労働者たちを皆殺しにする。そんな農園主を神の比喩として語る?
暴力的に年貢を拒むなら報復を受けるのは明らか。そんな方法を取る?イエスが自分で自分をたとえ話の登場人物とし、その死を予告する?
→初期のキリスト教会において定着していた理解と考える方がわかりやすい。初期キリスト教会における創作、もしくは大幅な改変 。
- たとえばなし、再生。
もしこのたとえ話の原型をイエスが語ったとするなら何としてでも生き延びようとする人々への共感を示し、励ますはず。何としてでも生き延びようとするあの手、この手。ユーモアと知恵。
「弱者の武器」(ジェームズ・スコット、山口雅弘「イエス誕生の夜明け」より)
①大土地所有者の畑や果樹園からこっそり食糧をくすねる
②漁業監督者の目を盗んで密漁する
③猫かぶりして故意に嘘をつく
④日雇いや 出稼ぎ労働で巧妙になまけて仕事をする
⑤種蒔きを拒否したり収穫物の一部をごまかし隠ぺいする
⑥権力者が不安になるようなうわさを流す
⑦権力者や富者に対して匿名の脅迫をする
⑧権力者や富者の不正を明らかにする冗談話・風刺的な話は、物語を作って語り伝える
⑨権力者を恐れさせるような密かな行為や、暴力をふるうことなどありとあらゆる手段での権力者への抵抗。
・届けに行ってます、行き違いかな?とテキトーなことを言って追い返す。かさまし底上げしたのをしれっと渡す。息子にはさんざん飲ませて食べさせていい気分にさせて帰す。 など
・農民たち大笑い。
実際の話、ありえる話。生き延びること、いのちそのものへの祝福。
・家づくりらの棄てた石が隅のかしら石に・・・イエスの事ではなく、貧しい農民たちへの共感と祝福。
※4月14日の礼拝で「石ころたちの笑い話」と題してモノガタリました。 子どもの頃にたとえ話を聴いたことのある老人が、教会で見る影もなく作り変えられてしまったたとえ話に憤慨するおはなし。南小倉バプテスト教会 YouTube チャンネルでご視聴ください。
次回最終回。シリーズの振り返り。 「放蕩息子」「不正な家令」も改めて。次シリーズの相談なども。昼の部:6月11日、夜の部:6月15日。
(記)会計担当U.N.(2024/6/9週報より転載)
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